こんにちは、樹田水希(@jutamizuki)です☆
よく、ビジネスマンなら一度は読んでおくべきと言われる「ローマ人の物語」ただ、分厚い単行本で、全15冊。文庫本では全43冊とあまりの長さに尻込みしてしまうことも多いのではないでしょうか。
※ローマ人の物語とはローマ帝国にまで発展する、ローマの誕生から滅亡までの約1200年の歴史を追った歴史小説
いくら周りからためになると言われても、集めるとなるとそれなりの金額になりますし、読んでもハマれるか?と心配になりますよね。
しかも、ファーストクラスに乗る人は案外ビジネス書より、歴史の本を好む傾向があることを紹介されるなど、自分磨きに興味ある方なら制覇しておきたい本でしょう。
今回は第三段、「勝者の混迷」編の下見ができるように、樹田水希個人が響いた名言集をまとめてみました。
「勝者の混迷」編のあらすじと概要
ハンニバルによる第二次ポエニ戦役を乗り切ったローマは名実共に地中海の覇者となります。
しかし、皮肉なことに国家が急激に拡大することにより、経済圏も急成長を遂げます。これによって貧富の差が拡大し、それまでローマ軍の中枢をになっていた中産階級次々と没落してし、土地を失い無職となった失業者たちが、ローマに押し寄せ社会不安を生み出してしまいます。
これをのちのカエサル(ジュリアス・シーザーの)の伯父にあたるマリウスが市民の義務であり、それまで持ち回りであった兵役を、職業として志願制にすることにより、失業者を吸収します。
しかし、これによって防衛の意味の大きかった軍団が攻撃型の性格が強くなったり、指揮官と兵士との結びつが強くなるなど、大きく社会システムが変化することになります。
国の規模が一気に膨れ上がり、それまで有効とされていた社会システムが次々と使えなくなり、人々が血を流しながらよりより社会システムを模索して迷走します。
実際その具体的解決のための回答は次章以降のカエサル(ジュリアス・シーザー)の登場を待つことになるわけですが、「勝者の混迷」編は、人間がいつもやってきたこと、感じることは一緒なんだなとあたらめて考えさせられると共にそれゆえにとても勉強になります。
悲鳴をあげる社会システム
- ローマの共和制は、理論的にはあくまでも主権在民なのである。それを、ハンニバル戦役の非常事態が壊してしまった。あの当時、臨機応変に対処することを迫られたローマは、元老院韓国をそのまま政策課することで、未曾有の非常事態を乗り切ったのである。ただし、このやり方が、非常事態が起こった後も受け継がれてしまったのだ。戦役中に見事に昨日したがために、その有効性に疑いを持つ人が、長期にわたってあらわれなかったこともある。
- 共和制ローマの興隆は、ひとりの英雄の力によるのではなく、多くの人間が試行錯誤しながらもつくりあげた、国家運営上のシステムにあった。興隆が個人の力ではなく、システムに負っていたのならば、混迷も、個人の力量の衰えによるのではなく、システムによらねばならない。
- グラッスス兄弟がローマ人に遺したのは、元老院主導の共和政体そのものへの疑問ではなかったかと思われる。
- この若者によってはじめて、あまりにも急速に大国になってしまったローマに生じた「疾患」が、なんであるか白日のものとに示されたのである。
それまで市民の義務であった兵役から職業としての兵役への変化
- たるの中に寝ていても人間の尊厳を保てた哲学者ディオゲネスのような人物は、あくまでも少数派である。多くの普通人は、自らの尊厳を、仕事をすることで維持していく。
ゆえに、人間が人間らしくいきていくために必要な自分自身に対しての誇りは、福祉では絶対に回復できない。- 執政官マリウスは、執政官の権利である正規軍団の編成を従来のような徴兵制ではなく、志願兵システムに変えたのである。これによって、ローマの軍役は、一人前のシミ人にとっての義務ではなく、職業に変わった。マリウスの呼びかけに応じて資源してきたローマ市民の大半は、農地を失ったりして失業者になっていた人々である。
これらの人々は、失業者として小麦の低額配給を受ける権利を放棄しても、一人前の市民になる道を選んだのである。- 改革によって、総司令官の使える軍団の数が伸縮自在になった点にある。これは、防衛を基本原則にして成り立っていた以前の軍制度が、派遣のおよぶ地中海世界全域を頭においての、攻撃型に変わったことを意味した。
軍団の制度変化による影響
- 志願制に変えたことによって、失業者を吸収し、当然のことながら長期に兵を使うことができるようになったこと。
- 軍団内なら完全に、ローマ市民の資産制による階級制度は消滅したこと。
- ローマ市民と同盟諸都市の市民との区別も希薄になったこと。
- 必要による軍団数の伸縮の可能性と将官階級の任命制の導入によって、最高司令官の権力が増大したこと。
- 最高司令官を頂点とする将官階級と一般兵士の関係が、より緊密になったこと。
その他
- すべての物事は、プラスとマイナスの両面をもつ、プラス面しかもたないシステムなど、神の技であっても存在しない。ゆえに改革とは、当初はぷらすであっても時が経つにつれてマイナス面が目立ってきたことを改める行為なのだ。
- 法律とは、厳正にしこうしようとすればするほど人間性との間に摩擦を起こしやすいものだが、それを防ぐ潤滑油の役割を果たすのが、いわゆる義理人情ではないかと考える。法の概念を打ち立てたローマ人だからこそ、潤滑油の重要性も理解できたのではないだろうか。
- スッラがローマを中途半端な状態に残したままでオリエント(東方)へ発ったのは、彼が、ものごとの解決を優先順位を明確にし、決めたからには迷わない男であったからである。
→スッラ:ローマの社会システムは旧体制の修復と微調整で新しい環境に適合できるとした為政者- 力の激突が予想される状態での睨み合いでは、双方ともが相当なプレッシャーに耐えねばならない。そして、最初に行動を起こすのは、この気を逃せば好機はに度とめぐってこないと信じて決断した時か、または、プレッシャーに耐えきれなくなった場合である。
- キンナには、姿をあらわしただけで人々が黙る、という質の才能が欠けていた。
→リーダーとしての資質の欠如の表現- スッラが独裁官になったのは、秩序の失われたローマ社会に、秩序を再建するためであった。その秩序が、彼の良しとした秩序、つまり元老院主導の秩序であったにしても、である。
それゆえ、彼が独裁官の地位に座りづづけることは、突出した個人を認めないことで成り立つ、少数指導性に反する行為になる。自分のなした国政改革を完全にしたいと思えば、スッラには、辞任するしかなかったのである。
→スッラは絶対権力者の独裁官になりながら自らその任を降り、引退する- 理(ことわり)を理解する人が常にマイノリティである人間世界では、改革を定着させるには、しばしば、手段を選んでいられないからである。
- システムのもつプラス面は、誰が実施者になってもほどほどの成果が保証されるところにある。反面にマイナス面は、ほどほどの成果しかあげないようでは敗北につながってしまうような場合、共同体がこうむらざるえない実害が大きすぎる点にある。
ゆえに、システムに忠実でありうるのは平時ということになり、非常時には、忠実でありたいと願っても現実がそれを許さない、という事態になりやすい。だからこそ柔軟性のもつシステムの確立が叫ばれるわけだが、これくらい困難なこともないのである。例外は、次の例外を呼ぶ宿命をもつものであるからだ。- 少ない戦力をもって大軍を集めることができる敵を圧倒するには、戦闘で圧勝し、それを人々に印象づけることで、敵方の大軍徴集能力をそいでいくしかないのである。
ただし、いかに戦略戦術の天才が率いようと、戦力の小さい軍隊には欠点もある。戦闘が優先するあまりに、外交面がおろそかにならざるえないという点である。無言の圧力をかけるのは、何といっても「量」であったからだ。- ポンペイウスは捕らえたもと海賊の多くが、オリエント(東方)での紛争に巻き込まれて家も何もかも失い、海賊業に身を投じざるをえなかった人日であることを知っていた。
→なので解放し、自由にし、定着する土地まで与えた。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
この「勝者の混迷」編は、もがき血も流しながらよりよい社会制度を求めてもがく人間のドラマに満ち溢れています。
個人的にはローマ人の物語のとても好きなパートです😊
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